のらえもん『本当に役立つマンション購入術』を読んで

著者近影
著者近影

湾岸タワーマンションのみならずマンション論壇のオピニオンリーダーとして知られるのらえもんさんの新刊が届きましたので早速読ませていただきました。

 

今までのマンション本と違うのは徹頭徹尾、購入者(エンド)視点で書かれているところです。
専門家は専門家としての立場と彼らが食べていくための仕組みがあります。
基本的に彼らがどこで利益を得ているのか誰からお金をもらっているのかにかかわるところは明かせませんし、最終的には著者に相談しにきてねとかこのサイトに会員登録してね的なノリになるので「続きはウェブで!」みたいな残尿感は残ります。
しかし本書の場合、買う際に考えることを、中古を買う時に考えることと将来売る時に考えることから逆算して導き出します。
エンドとして新築を買う時、中古を買う時、中古を売る時、どう考えるか何を見るかという時系列を考えに入れたエンド視点なのです。
未来の自分がどうするかを考えて現在の行動をとる。今の行動で未来の自分の自由が制限されないようにする。
それを考えないと今の自分の行動で未来の自分が大変なことになってしまう。
ドラえもんの「ドラえもんだらけ」がそんな話でした。

今がよければいいと未来の自分に助けを求めて最終的に大変なことになる話です(ドラえもんだらけ)
今がよければいいと未来の自分に助けを求めて最終的に大変なことになる話です(ドラえもんだらけ)

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ブリリアタワーズ目黒、いよいよ最終期(最終期販売価格表あり)

4月から長きにわたって僕らに話題と夢と現実を提供してくれたブリリアタワーズ目黒がついに最終期を迎えます。
10月3日~10月13日が最終期受付登録期間です。販売戸数は20戸となります。

前回のラブライブ!
前回のラブライブ!

前回のラブライブ!もといこれまでのブリリア目黒のあらすじはこちら。
ブリリアタワーズ目黒モデルルームに行ってきた(1)
ブリリアタワーズ目黒モデルルームに行ってきた(2)
ブリリアタワーズ目黒モデルルームに行ってきた(3)※価格表あり
ブリリアタワーズ目黒、ついに販売開始!※第1期正式価格表あり
ブリリア目黒、いつの間にか残り3%になっていた件

 

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新建築2015年7月別冊『マンションづくりと街づくり 長谷工コーポレーションの手法』

マンションのことなら長谷工~タラララッタラ♪(Youtube動画より)
マンションのことなら長谷工~タラララッタラ♪(Youtube動画より)

マンションのことならわかるんだ~作ってきたからわかるんだ~
というわけでマンションを語る上で長谷工を避けては通れません。
田の字型間取りと寝室が共用廊下に面する問題とか二重壁で有効面積狭まる問題とかネガティブな取り上げられ方をされることも多い会社ですが、リーズナブルな価格での住宅供給や腕力のいる込み入った用地・建て替えなど「長谷工でなければ事業化できなかった」とか「長谷工だったから買えた」とかプラスの側面も多いわけです。
そんな長谷工の取り組みを取り上げているのがこの一冊です。

『新建築』2015年7月別冊 マンションづくりと街づくり 長谷工コーポレーションの手法

 

 

 

長谷工の用地仕入れ能力っていうのはものすごくて、一見デベロッパーの物件に見えても長谷工の特命受注(長谷工が用地を押さえてデベロッパーに企画として持ち込んで事業化する方式)だったりとか多くてなんでこんなに土地押さえられるんだろうと不思議でしたが、結局ほかの会社では手を出せないような難案件もしっかりこなしていくからなんですね。なるほどですね。

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垣谷美雨『ニュータウンは黄昏れて』

不動産系の方々が皆絶賛していた垣谷美雨『ニュータウンは黄昏れて』を早速読んでみたのですが、これがおもしろくて。
ニュータウン管理組合編、不労所得お坊ちゃん翻弄編、幼馴染三人娘のその後編の三つの要素がからんだりからまなかったりしながら話が進んでいく構造で、不動産関係者必読だし小説・物語としてみても展開にドキドキしながら楽しんで読めます。
岡山から上京し高円寺の賃貸アパートを経てバブル崩壊直前にニュータウンの中古を買って価格暴落で身動きが取れなくなり高金利のローンを払い続けている母・頼子と美大を出て就職した会社が潰れ駅前の寿司屋でバイトをする娘・琴里の二人の視点があるため、やや読みづらくはあるが、「ニュータウンに入植した世代」と「ニュータウンで育った世代」のそれぞれの感覚や問題が垣間見え、重層的な物語となっている。
(頼子は作者本人がモデルであるため、購入当時の感覚や管理組合の描写はそこにいるかのようなリアリティがある)
時代の波に翻弄され、結果的に価値のないものを高額で買う羽目になり、早く売って都心に帰ろうとして建て替えに望みを懸けるというのはニュータウンの人だと割と一般的な思いなのかなという気がしました。
以下ネタバレ含みつつ自分の関心に寄せた感想です。

しかし帯の犬山紙子はミスマッチちゃうか
しかし帯の犬山紙子はミスマッチちゃうか

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一次取得者の住宅購入①「最後は自分で決めろ」

仕事柄マンション購入に関する相談を受けることが多いのですが、やはり一番多く、そして相談者の悩みも深いのが一次取得者の方ですね。
一次取得者というのは初めてマンションや戸建(新築中古問わず)を買う人のことで、SUUMO新築情報やこなれた価格の新築マンションとかの主要なターゲットとされている層です。
二次取得者(買い替えや買い増しの人)は一度買って住んだことがあるために、何が必要で何が不要かとかの感覚や毎日ポストに投函されるチラシで近隣相場がわかってきたりして不動産レベルが上がっていった人なわけですね。
もちろんローンをちゃんと支払っていった経験から、住宅ローンは言われるほど恐ろしいものではないことも、自分がどれくらいの額なら払っていけるのかも知っています。
なので二次取得者は話が早いです。見切りも早いし決断も早い。どの問題(価格とか)が解決すれば買う、という交渉も明快です。
感覚としてはプロ同士のやりとりに近いかなというところはあります。(まあさすがに瑕疵担保免責・現況有姿とはいきませんが)

対して、一次取得者は不動産レベル1ですから「ローンちゃんと払えるかな?」とか「くじとかで管理組合の理事長にされたりしないかな?」とか「ご近所とうまくやっていけるかな?」とかいろいろ迷ったり悩んだりするわけです。
ちょうど冒険の旅に出る前の勇者が薬草を何個買ってったらいいか迷ったり、ルイーダの酒場で誰に声をかけようか悩んでしまうのと似ています。

昔こんなドラマもありましたね
昔こんなドラマもありましたね

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