一次取得者の住宅購入①「最後は自分で決めろ」

仕事柄マンション購入に関する相談を受けることが多いのですが、やはり一番多く、そして相談者の悩みも深いのが一次取得者の方ですね。
一次取得者というのは初めてマンションや戸建(新築中古問わず)を買う人のことで、SUUMO新築情報やこなれた価格の新築マンションとかの主要なターゲットとされている層です。
二次取得者(買い替えや買い増しの人)は一度買って住んだことがあるために、何が必要で何が不要かとかの感覚や毎日ポストに投函されるチラシで近隣相場がわかってきたりして不動産レベルが上がっていった人なわけですね。
もちろんローンをちゃんと支払っていった経験から、住宅ローンは言われるほど恐ろしいものではないことも、自分がどれくらいの額なら払っていけるのかも知っています。
なので二次取得者は話が早いです。見切りも早いし決断も早い。どの問題(価格とか)が解決すれば買う、という交渉も明快です。
感覚としてはプロ同士のやりとりに近いかなというところはあります。(まあさすがに瑕疵担保免責・現況有姿とはいきませんが)

対して、一次取得者は不動産レベル1ですから「ローンちゃんと払えるかな?」とか「くじとかで管理組合の理事長にされたりしないかな?」とか「ご近所とうまくやっていけるかな?」とかいろいろ迷ったり悩んだりするわけです。
ちょうど冒険の旅に出る前の勇者が薬草を何個買ってったらいいか迷ったり、ルイーダの酒場で誰に声をかけようか悩んでしまうのと似ています。

昔こんなドラマもありましたね
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一次取得者の方が決断を渋るのは、端的に言えば「失敗したらどうしよう」という思いが強いからです。
親の反対、資産価値下落不安、支払不安等々キャンセル理由の顕在化する形はいろいろ違いますが根っこは同じです。
一度はその気になって買うつもりで手続きを進めていても、いろんな人から代わる代わる不安を煽られたら夜眠れなくなるのは当然です。
そうなった時に、もう一度自分の心に立ち返ってどうして自分はこの物件を買おうと思ったのかを思い出し、具体的に懸案になっていることはなんなのか一つ一つ書き出して、その一つ一つに対して解決策を考えてみるのはどうでしょうか。
(たとえば支払不安であれば家計の洗い出しや保険のスリム化(銀行融資の場合)、資産価値下落不安であれば近隣相場を固有性や全体の相場を加味して価格変動のスパン・下限を知っておく、など)

この際、いろんな人に相談したくなりますし、それは結構なのですが、誰かの判断にそのまま乗っからないようにした方がいいです。
というのも、誰かの判断に乗っかるということは決断を他人に委ねるということです。
決断を誰かに委ねてしまっては、状況が悪くなった時にその人のせいにするばかりで、自分の問題として取り組むことができなくなります。
それでは精神の平穏は保てるかもしれませんが、自分の資産・財産を扱う態度としては褒められたものではないでしょう。
他人事ではなく自分が当事者なのだ、そういう認識を持つために不安や懸念と向き合って、最後の決断は自分でしてください。
僕がノルマに追われた営業で売らんかなの姿勢であれば、あとでいくら恨まれようが知ったことではないので判断を委ねられれば「買え!」って答えて済ませるでしょう。
あるいは僕がマンション情報を売りさばく立場であれば、情報を買う顧客が減るのが嫌だと思って「買うな!」と答えるでしょう。
判断を迷っている人に力強く結論を与えてくれる人なんてろくなものではないです。結局それは我田引水に過ぎません。

これから10年か35年かあるいはそれ以上付き合っていく相手のことなのだから、しっかり自分の決断で買うにしても買わないにしても選んだほうがいいと僕は思います。
結婚式の時に「健やかなる時も病める時も~これを愛し云々」って言うじゃないですか。
万全を期しても不測の事態は起こるものです。
だから逆境になったらどうしたらいいですか、逆境にならないという太鼓判を下さいではなく、逆境になっても愛せるかどうかを考えたほうが幸せになれると思います。

結婚も住宅購入も人生の一大イベントですね
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