のらえもん監修『住んでみなければ絶対にわからないタワーマンションほんとの話』を読んで

僕の代わりに見た人は感想を教えてください

皆さまは「メアリと魔女の花」はご覧になられたでしょうか?
僕は「借りぐらしのアリエッティ」があまりにもアレだったので以来米林監督の作品は見ないと心に決めているのですが。
米林監督の作品というのは表層的にはそれまでのジブリ作品(端的に言えば宮崎駿監督作品)によく似ていて、美しい風景だとかかわいいキャラクターだとか今作は動きをウリにしているようですが、「ジブリっぽい」作品を作ることにかけては長くいただけあって長けているわけです。
しかし「それっぽく」はあるのですが、宮崎駿作品が観客につきつけるメッセージや投げかけのような核となるものがないために、環境ビデオを見た後のような締まらない印象しか残りません。
親子でとなりのトトロ千と千尋の神隠しを見たら受け取る印象も親と子では違ってきますが、親子でアリエッティを見ても「つまんなかったね」とか「え?これで終わり?」という一致した意見しか出てこないでしょう。
作品が成立していれば、見る視点によって建物がその姿を変えるように人によって別の印象を持ちますが、作品として成立していなければ、更地の印象は誰にとっても同じように、人によって別の姿を見せることもありません。
キャラクターがかわいいとかCGが秀逸だとか、庵野の描いた巨神兵がすごいとかは枝葉末節・局地戦の話であり、作品を作品たらしめる舵取りをする、つまり本筋・戦略を立てるのが監督であり、だからこそ、その作品の毀誉褒貶はひとえに監督の責任に帰せられるのも当然と言えるでしょう。

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