不動産屋さんから見たズートピア

ズートピア、みなさんもう見ましたよね?えっ、まだ見てない?それはヤバいっすよ!今月末まで(場所によっては今週末まで)やってるらしいんで駆け込みで見に行ってください。(笑)

ズートピア
ズートピア

かくいう自分もズートピアを見に行こうとか全然思ってなかったのですが、毎日「ズートピアはいいぞ」「ズートピアはいいぞ」「ズートピアはいいぞ」と耳元で聞かされて、ズートピアのあらすじを5周くらい説明されて「これはもう覚悟を決めなあかんな」ということで腹をくくって映画館に出向いたわけです。

結果



とてもおもしろかったです。あらすじは知ってたのにそれでもおもしろかったという。エンターテイメントとして相当練られているし完成度が高かったです。
ポイントを挙げると

1.アメリカの問題点を包み隠さず描いている
多種多様な動物たちが集まって暮らす現代都市・ズートピアは多種多様な人種・民族で構成されるアメリカを象徴しています。動物間の差別や対立、偏見や攻撃が描かれますが、最後にそれらが解決して大団円という結末ではなく、それらの問題は(一応「事件」としては解決するものの)残ったままそれぞれがどう生きていくかという、ある意味聴衆にボールを投げた形で終わります。見終ったあと考えさせられましたし、また、「これはアメリカと何回戦争やっても日本は勝てないな」と痛感しました。ディズニーがそれをやるのか、というやられた感があります。自分たちの社会が抱える問題を広く、他国にさえ開陳し、それと向き合っていくというのはとてもハードルが高いことですし、そのことによって社会の強度は上がるでしょう。日本でこのような映画をやろうとしても、横槍が入って中止になるか表現が抑えられるかしかない気がします。

2.大人と子供で見え方が違う
大人と子供でとらえ方が変わるシーンがいくつもあります。たとえばヌーディストビーチのシーンは動物だからエロくはないですが、大人はそのシーンを見て意味するところを理解してOh…となるでしょう。子供ははしゃぐでしょうが。あるいは免許センターのナマケモノのスタンプのシーンは、子供はナマケモノのゆっくりとした動きを見て喜ぶ一方で、大人は免許センターの公務員を思い浮かべて「うんうんそうだよねどこの国でもそうなんだ」と違う側面に注目することでしょう。

3.エピソードに無駄がない
とても話がよく練られているので何の気ないエピソードがのちに重要な意味を持ってくる演出がバシッと決まります。あれはいったいなんだったのか、と未回収になる謎もありません。

と、いろいろと挙げてみましたが上記の考察はたぶん感想サイトや考察サイトを巡れば出てくるはずで、それほどバリューのある話とは思っていません。タイトルで述べた「不動産屋さんから見た」感想、発見についてこれから述べますのでよく集中して聞いてください。
冒頭でキツネのニックがゾウ向けのアイス屋さんでアイスキャンディー(ゾウ向けなので大きいんです)を買い、アイスキャンディーを溶かして小分けにして冷やして固めて、1個ずつ仕事終わりのレミングに売って荒稼ぎするシーンがあるのですが、このシーンを見てある不動産会社のことを思い浮かべていました。

ニックが小分けにしたアイスをレミングに売るシーン
ニックが小分けにしたアイスをレミングに売るシーン

このあと主人公のジュディはニックの行為を詐欺だと批判するのですが、もちろん彼の行為は詐欺ではありません。そのままではニーズのない商品(ゾウ向けのアイスキャンディー)を量を調整してニーズのある商品(レミング用のアイスキャンディー)に変えて売っただけです。
このスキーム、これと同じだと思いませんか?

ボルテックスの区分所有オフィスのイメージ(カンパニーサイトより)
ボルテックスの区分所有オフィスのイメージ(カンパニーサイトより)

オフィスビル一棟買うのは高いし面倒だ、だけど小分けになった区分のオフィスなら値段も手ごろだし一度テナントがつけばあとは放置でいいからそっちの方がいい、そういうニーズをとらえた商品がボルテックスの区分所有オフィスなのです。ボルテックス(=ニック)はオフィスビル一棟(=ゾウ向けのアイス)を買って、小分けにしてから区分所有オフィス(=レミング向けのアイス)として個人や投資家(=レミング)に売るわけです。どうですか、全く同じ構造ではないでしょうか。小分けにすることで価値を生み出す、買えないものを買えるものにアレンジすることで需要を生み出す、元の一棟の値段(ゾウ向けアイスの値段)は購買対象ではないのでそれがいくらだろうと問題にならないわけです。そう考えるとニックもボルテックスも魔法の杖を手に入れた天才に見えてきます。とすると、東京ディズニーランドにズートピアのアトラクションができた際はきっとボルテックスがスポンサーになるのではないかと想像しています。

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