国家としてのマンション

湾岸タワマン時代の先駆けとなったセンチュリーパークタワー(中央)
湾岸タワマン時代の先駆けとなったセンチュリーパークタワー(中央)

きっかけはこのツイートから。タワーマンション修繕談義の口火を切るわけです。

https://twitter.com/bishop_ring/status/578939870187409408

ユウタロス Ver.1.2.1さんはTwitterを使っています: “郵便受けに臨時総会の資料が。ついに来たよ大規模修繕。 恐らく日本初の50階以上建ての超高層タワーマンションの大規模修繕が始まる。 … via kwout

湾岸タワマンのトップランナー、センチュリーパークタワーの大規模修繕が5年がかりで予算規模20億円という話。

修繕積立金格安設定(後で積立不足になりがち)の三井物件でありながら、管理組合のガバナンス(統治)がしっかりしているなという印象。

そのグッドガバナンスの理由を入居者の属性に求める居留地通りさんの考察。

https://twitter.com/tokyo_jcs/status/580642726644846593

居留地通り ver. 1.1.0さんはTwitterを使っています: “某54階建てタワマンの理事は国家運営に関わってきたレベル感の方が多くてその運営センスたるや我々がツベコベ言えるレベルでは無い。… via kwout

この考察には僕もうんうんと思うところがあって、というのは経済学とかゲーム理論とかが現実社会の分析に限定的にしか役立たないのは「合理的に行動する人間像」から外れるタイプの人が無視できない割合で存在するからなんだけど、上述のひとびとは合理的な思考・行動に慣れているし、国や会社を統治する側に立っていることも多いから「構成員がどう行動すれば統治しやすいか」ということを熟知しているわけです。

統治がうまくいくもうひとつの理由は、「このマンションの資産価値を維持する/高める」という目的を共有しているからです。

https://twitter.com/aka1you/status/580769281639493632

DJあかいさんはTwitterを使っています: “この大規模修繕はリバーシティの話だけどたとえば広尾ガーデンヒルズなんかも管理が素晴らしいと名前が挙がることが多いけど、結局高収入高技能… via kwout

そういう意味で言うとはからずも社会の上層(経済的・政治的な)だけで共同体を作ったとしたらどうなるか、という社会実験になってる部分も(見ようによっては)あるわけです。
しかし人間万事塞翁が馬、日の出の勢いだった人や会社も没落したり倒産したりすることもあるでしょう。そうするとどうなるか?

https://twitter.com/aka1you/status/580771930908729344

DJあかいさんはTwitterを使っています: “タワーマンションとかヴィンテージマンションにはなぜ稼がない人がいないかというと管理費修繕積立金がそれなりで、しかもそれを支払わずに滞納… via kwout

国は働けない人や稼がない人を国外退去させることはできませんが、管理費や修繕積立金を払わない場合その部屋(正確には区分所有権及び敷地利用権)を競売にかけて出て行かせることができるわけです。

それによって国で言えば社会保障費のように働かない人の分を皆で負担する(つまり滞納者の分の管理費や修繕積立金を他の人が負担する)必要はなく、競売で不良構成員を排除され、新しくその部屋を買う資力のある良質な構成員に入れ替わるという仕組みになっています。

NIHON NO ZAISEI(財務省サイトより)
NIHON NO ZAISEI(財務省サイトより)

日本の財政がいつまでも大幅な赤字になっているのは結局のところ社会保障費が多すぎるのとそれが毎年増大していくところに原因があるので、公務員の給与を下げようが公共事業を減らそうが焼け石に水なわけです。

でも公共事業のムダをなくせ!とは言えても年金を減らせ!とか医療費負担を増やせ!とは言えないためにいちばんの原因を放置したまま小手先の変化で済ませているのが現状です。
話がそれました。稼ぐ能力のある国民が集まり、経済力のない国民を養う義務もなく、絶えず悪い国民は良い国民に入れ替わる、センチュリーパークタワーをはじめとする高級マンションはそういう国(のようなもの)ととらえることができるでしょう。

誰かが「それってシンガポールみたいだよね」と言ってましたが、まさにその通りでこのセンチュリーパークタワー(代表して名前を挙げてるだけで、高級マンション全体のことだと思ってください)と日本国の違いは国の外部があることだとおもいます。

「日本にだって国の外はあるだろ!馬鹿かおめーは」と言われそうですがそうではありません。シンガポールは失職したり妊娠などで働けなくなれば国外退去を迫られます。マンションでも先ほど挙げたように負担金が支払えなければ競売で国外退去です。日本は割とそこらへんアバウトというか失職即国外退去とか税金滞納で国籍剥奪とかはないですよね。

分譲時高額だったマンションの方が属性のいい人たちで作ることになるので、管理もうまくいきやすいし積立金の不足も少ない(仮に不足したとしても追加のお金を出すことも可能でしょう)ので中古物件としても人気が高まり、新たに入ってくる人ももとの人達と同じようによい属性の人である確率は高いでしょう。
逆に分譲時安かったマンションは、合理的発想から遠い人も多いため自己満足で総会を荒らす愉快犯も現れやすく、またギリギリでローンを組んでいるケースで破綻して管理費修繕積立金を滞納する割合も高いため、管理の難易度は上がります。修繕積立金が足らなくなれば紛糾し、結局費用を削らなければならないかもしれません。そうすると中古の価格も下がり、さらにひどい人が入ってくることになります。
と、こう考えると高額なマンションを買ったほうがのちのちの憂いが少ないように思えませんか。って言ってもそれで高いの買えるなら苦労しねーよって言われそうですね。

 

 

「国家としてのマンション」への1件のフィードバック

  1. 結局最初のツイートにある、大手ゼネコンに修繕を断られて修繕計画が進まない件はどうなったのでしょうか。
    国家の中枢にいたレベルの住民がどう解決したのかが知りたいですね。

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