賃貸不動産業界の現状と問題点を斬る!(1)「みんな知ってる?仲介手数料無料の業者が潰れない理由」

さて、以前仲介手数料無料の仕組みについてざっと説明しました。
仲介手数料無料の落とし穴?(1)
仲介手数料無料の落とし穴?(2)
かいつまんで言うと不動産会社(仲介業者)が仲介手数料を取らずにやれるのはオーナーから広告料をもらっているからだ、つまりそこで紹介される物件はオーナーがお金を出してくれる物件だけ、お金払わない人は客じゃないよそういうお店にとってのお客さんはオーナーだよ、という話でした。
では広告料とは一体なんなのか。その話を今回したいと思います。

↓前回までのあらすじ(イメージ画像)

家賃10万円、礼金2ヶ月、敷金2ヶ月、保証会社利用(保証料1ヶ月)、仲介手数料無料、広告料1ヶ月の場合のお金の流れ
家賃10万円、礼金2ヶ月、敷金2ヶ月、保証会社利用(保証料1ヶ月)、仲介手数料無料、広告料1ヶ月の場合のお金の流れ

ところで仲介手数料無料を謳う不動産会社、近年特に増えた気がしませんか?
実は不動産業界をめぐる大きな環境の変化が仲介手数料無料の会社の登場をもたらしたのです。
2000年代後半あたりからREIT、ファンド物件が増えてきました。
REIT物件のススメでもちょっと触れましたが、REITやファンドは資産の入れ替えが必要だったり、期間の決まっているファンドであれば最終的に資産を売却してクローズする必要があるため、売却時の価格に敏感にならざるを得ません。
いくらで売れるのかを左右する最も大きな要素は利回り(年間総賃料/価格)です。
なのでREITやファンド物件における賃料減額は売却時価格の毀損に直結する事項であり、たとえ周辺相場から離れようとも賃料すなわち利回りすなわち物件価格を維持しなければならないのです。
でもいくらREIT物件が新し目で設備が揃っているといっても、周辺相場と大きく乖離していれば、稼働率を上げるのは難しいです。
そんな時、賃料を維持したまま空室を埋めるために使われるのが、礼金0、フリーレント(一定期間の賃料無料)、仲介業者への広告料、などなどです。

賃料を維持するためにあらゆる手段を講じた例(アルティス西ヶ原パークヒルズ交通広告)
賃料を維持するためにあらゆる手段を講じた例(アルティス西ヶ原パークヒルズ交通広告)

ファンド物件やREIT物件、それに例に挙げたアルティスのようなREITやファンドを出口に想定した開発物件が多くなってきたことにより、広告料がもらえる物件のボリュームが多くなり、お客さんから仲介手数料をもらわないことをアピールして集客し、広告料だけで食べていくことが可能となったのです。
広告料は物件が供給過多になっている地方の方が多く出る(出さないと埋まらない)傾向があり、地方の業者には広告料が2ヶ月分出る物件しか紹介しないという豪の者もいるようです。
REITやファンド物件は10万円台から50万円くらいまでの価格帯が多かったため、その価格帯では仲介手数料無料業者がネット集客(SEO)とのあわせ技で台頭し、旧来の高級賃貸業者は大きく打撃を受け、専任物件や貸主物件の自社での囲い込みを行ったり広告料を減らしたりして対抗しました。

広告料の一般化とその影響について触れたところで、次回は広告料とは一体何ぞや、そしてその位置づけ、問題点について詳しく掘り下げたいと思います。

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