仲介手数料無料の落とし穴?(2)

(初出2015.2.1  画像追加、文章追記)

前編の(1)はこちら です。

家賃10万円、礼金2ヶ月、敷金2ヶ月、保証会社利用(保証料1ヶ月)、仲介手数料1ヶ月の場合のお金の流れ
家賃10万円、礼金2ヶ月、敷金2ヶ月、保証会社利用(保証料1ヶ月)、仲介手数料1ヶ月の場合のお金の流れ

さて前回、初期費用のうち仲介手数料だけがあなたを案内してくれた不動産屋さんの収入になるという話をしました。
ところが昨今、仲介手数料無料の不動産屋さんが増えています。
彼らはお客さんから受け取る収入源である仲介手数料を拒否してどうやって収入を得ているのでしょうか?ボランティアでやってくれているのでしょうか?

ボランティアで仕事をする不動産屋さん(イメージ)
ボランティアで仕事をする不動産屋さん(イメージ)

結論から言うと、仲介手数料無料の不動産屋さんはボランティア精神でお客さんのために身を捨ててやっている・・・わけではありません。(当たり前ですが)
実は彼らはお客さんからお金をもらわない代わりにオーナーからお金をもらっているのです。
物件を契約するとオーナーから広告料(SUUMOやホームズでの宣伝代)の名目で不動産屋さんにお金がもらえる仕組みです。
(なぜそういう体裁をとるのかは長くなるので別の機会にしましょう)

家賃10万円、礼金2ヶ月、敷金2ヶ月、保証会社利用(保証料1ヶ月)、仲介手数料無料、広告料1ヶ月の場合のお金の流れ
家賃10万円、礼金2ヶ月、敷金2ヶ月、保証会社利用(保証料1ヶ月)、仲介手数料無料、広告料1ヶ月の場合のお金の流れ

そうするとどういうことになるのか?
世の中にはオーナーから広告料の出る物件、出ない物件があります。
しかし、仲介手数料無料の店で紹介してもらえるのは「オーナーから広告料が出る物件」だけなのです。
あなたは初期費用を節約しようと仲介手数料無料の不動産屋さんに行きました。
あなたが挙げた条件に最もよく合致する物件があっても、それが広告料の出ない物件であれば、その物件は紹介されることはなく、条件は一部合わないかもしれないが広告料の出る物件を紹介されることになるでしょう。
それは慈善事業ではなく利益を求める構造上仕方のないことです。
本来支払わなければならないお金を払わずに済むとしたら、そのお金を誰が負担しているのかということは考えてみてもいいのかもしれません。
仲介手数料無料の不動産屋さんは、部屋探しをする人よりもオーナーの方を向きがちです。
(お金を払ってくれる人を大切にするのは当然ですね)
結果、あの手この手で広告料の大きい物件に押し込めるケースも多くなります。
以前保険見直し業界で特定の会社の保険ばかり勧めていることが問題となりましたがあれも同じ話です。

保険ショップの問題(イメージ)
保険ショップの問題(イメージ)

無料で保険の見直しをしてくれるということは誰がその人の給料を出してるのかと考えれば、キックバックの大きいところをまっさきに紹介するのは当然です。
不動産でも保険でもそうですが、払うべきお金を払わないと、自分がお客さんではなくて(お金を出してる人のための)商品になってしまう危険もあるんじゃないでしょうか。

追記
図を見て、お金の流れ的にはお客さんが支払った礼金が広告料になっているように見える点に気づいた人もいるのではないでしょうか。
実は実際に礼金を上乗せすれば広告料を出すよ(あるいは増やすよ)という物件、オーナーもいたりします。
そうすると元々仲介手数料として支払っていたお金が礼金として支払われるという建て付けの違いだけの話であって、別にあなた得してるわけじゃないっすよって話になってしまいます。
そんな朝三暮四をさもお客様のためであるかのように喧伝する業者にも、そんな朝三暮四にすっかり騙されてしまうお客さんにもいろいろとがっかりしてしまいます。
君らの求める希望の世界はそれか、みたいな感じで。

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