モンテスキューと湾岸タワーマンション生活者の気風

『法の精神』は匿名で出版されたが、これだけの本を書けるのはモンテスキューしかいないとすぐに特定されたという
『法の精神』は匿名で出版されたが、これだけの本を書けるのはモンテスキューしかいないとすぐに特定されたという

(初出2013.10.31 一部加筆修正・画像追加 )

モンテスキュー『法の精神』と言えば、名前だけは聞いたことのある人もいるかもしれない。

三権分立を唱えた(11.5)ことで、我が国の政治制度にも大きな影響を与えているために。

『法の精神』は1000ページを超える大著であり、三権分立にみられる政体論にとどまらず、税金論、風土論、商業論、宗教論、そしてそれぞれとの法の関係について著述した18世紀フランスを代表する作品である。

さて、今回取り上げたいのはモンテスキューの風土論である。

モンテスキューとは彼の領土を指す。日本で言えば田中角栄を「目白」と呼んだり吉良義央を「上野介」と呼ぶのに近い。
モンテスキューとは彼の領土を指す。日本で言えば田中角栄を「目白」と呼んだり吉良義央を「上野介」と呼ぶのに近い。

彼は、北方に住む人々は寒さゆえに神経が収縮しているため、感受性が弱く、精神を活発化させる戦争や飲酒に走りがちである一方、南方に住む人々は神経や皮膚が弛緩しており感受性が豊かなため、愛や情熱に動かさがれがちである、と述べる。

法律は風土からもたらされる人の性質に対抗すべきだが、たとえばインドにおいては法律が風土の難点を助長してしまっている。(14.2-6)

(インドは暑いため人は怠惰になりがちなので、法律と宗教が労働へと導かなければならないのに、インドの法律は土地を首長に与え、個人の所有を許さず、かえって風土の弊害=怠惰を増大させている)

つまり、風土がもたらす人の性質の難点を是正するのが「法の精神」なのである。

 

ところで、湾岸タワーマンションに住んでいる人と接してみると、気づくことがある。

あくなき向上心とダイナミックな行動力、そして「勢い」を感じることが非常に多い。

(何人か具体的な人物が浮かんだ人もいるかもしれない)

最初は、それらは何もなかった土地へ移住する人の持つフロンティアスピリッツに由来する気質だと思っていたのだが、モンテスキューの論を援用するなら、湾岸タワーマンションという風土が彼らの性質を作っている可能性もあるのではないかと思い始めた。

タワーマンションの超高層に住むことで、あるいは海風とビル風を受けることで、血管や神経が収縮し、より心臓の作用が強まり、生気があふれ、自信や勇気、優越感をもたらす。(14.2)

管見でも、湾岸タワーマンションに住んでいる人は落ち着かず、動き続けているし、湾岸タワーマンションから出て行く人は先ほど挙げた性質を失って落ち着こうとする人が多かった。

なので一旗あげよう、大きく成功しようと思っている人は湾岸タワーマンションに住んでみるのもよいかもしれません。オリンピックで上がったりする副次的効果もあるかもしれないし。(買い煽り顔)

今回追記:本論の趣旨から言えば湾岸の風土がもたらす長所を伸ばし、欠点を是正するような法律が必要という話をしたいところだが、それは長くなるので別の稿で改めて行いたいと思う。

湾岸タワーマンション民は前述の気風を持ち、人口の上でも経済力の上でも無視できないほど増えてきている一方で区内の意思決定から疎外されている。有能なリーダーがいれば中央区や江東区の旧世界に代わって政治的決定の中心に躍り出ることも不可能ではないように思える。

参考文献

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