
実は現地販売所やモデルルームにいるとこういうクレームを目にすることは多いすね。
というのも、営業所長といった責任者が「競合は潰しまくれ!Disって潰せ!」と推奨しまくるからです。
で、実際Disりまくっても競合は潰れないどころかかえって信頼を損なって買ってもらえなくなるわけです。
若き日のあかいさんも当時見込みになりそうな客がいて、この1件をなんとか取りたいと思っていたところ、どうやら他社の物件を前向き検討していると分かり、当時の上司に「お前、客先訪問して比較して××マンション潰してこい!」とencourageされたこともあって、自信満々で比較資料を作り、相手先のマンションのインターホンを高橋名人顔負けの16連射をかました上、当然そんなアホな若造の世迷言を聞き入れてくれるはずもなく、むしろその行動が他決への後押しになったのではないかと思える出来事もありました。(若気の至り顔)

でね、よくよく聞いてみると周りの営業、誰ひとりとしてそんなDis太郎はやってないわけですよ。
若い頃の僕なんか素直ですから、所長が「競合物件全部比較表作って、競合を検討してる奴がいたら徹底的に潰すぞオラ!」って号令し、他の営業が「サーイエッサー」とばかりに返事してるのを見て、ああそういうものなんだと思ってたらバカ正直にやってたのは自分だけという、そんな梯子外しでした。
それが「いつも自分の頭で考えなければならない」という信念につながる第一歩だったわけですがまたそれは別の話。

話を戻しますと、なぜ競合をDisっても効果がないのか、競合を潰すにはどうしたらいいのかということですね。
その答えがこれ。
人っておもしろいもので、他人から言われたことってあんまり信じないんですよ。(権力関係とか支配関係があればまた違いますけど)
じゃあ何を信じるかっていうと自分が心の中で思っていること、それを口に出した時、同意された時に信じるわけです。
だから競合物件を潰そうと思ったらこっちからいくら畳み掛けても北風と太陽の北風みたいなもんでまったくの徒労でしかなく、むしろ客の側の心の中(それは自分でも気づかない深層心理のこともある)を引き出すところからやらないといけないわけです。
たとえばダメなパターンとしては
客「御社のA物件より他社のB物件の方が気に入っています」
できない営業「なんでですか!B物件なんて地震ハザードマップに入ってますし、三軒隣はパチンコ屋ですし、うちは地盤も磐石ですし周りに嫌悪施設もないのに、どうしてB物件にするんですか!」
客(絶対買わねえ・・・)
チーン
では次はトゥルーエンドルートを
客「御社のA物件より他社のB物件の方が気に入っています」
できる営業「そうですか。確かにB物件はこの地域では珍しいタワーマンションでとても話題になっていますね。では来週B物件の登録に参加されるんですか?」
客「いや実はそれが迷ってまして・・・」
できる営業「B物件のどのような点が気になっているんですか?」
客「いやあどうも地盤がよくないらしくてね。基礎杭が80mも打ち込んであるのが不安でね。後、妻が近くにパチンコ屋があるのが気になると言ってるんだよ」
できる営業「なるほど。基礎杭が岩盤に打ち込んであれば基本的には問題はないのですが、お客様のように気にされる方もいらっしゃいます。パチンコ屋は僕なんかはよく行くんですけどw、女性の方やお子様には敬遠されることも多いですね」
客「そうだよな・・・。その点で行けばA物件には懸念がないもんな・・・」
みたいな感じで(適当)
強く自分の主張をするわけでもないのに、後々考えるとその人の思い通りに事が運んでるっていう竹下登みたいな人がいるじゃないですか。
そういう人って一般的には「聞き上手」と言われたりするわけですけど、その人の真髄って「聞く」ことにあるのではなくて、「聞くことによって相手の心の中を引き出す」ことにあるんじゃないかと思うわけです。
だから人から恨みを買うことなく自分の持っていきたい方向に誘導することができる。(しかも相手方には誘導されたという意識がない)
営業ってのは結局のところ相手の気持ちをどう作っていくかってことに尽きるわけで(だから商材が変わっても売上すごい人は別業界でも売り上げることが多い)カウンセリングスタイルもある程度いろんな業種で通じるのでないかと思っています。(セミナー講師顔)
今日はこんな感じで!