東京R不動産と住友不動産の共通項

先日のカンブリア宮殿、ご覧になられました?

東京R不動産という会社が特集されてたんですけど、特徴的なのは家賃・面積・駅徒歩分数といった定量的な視点ではなく、眺望がいいとか女性向けの間取りとか茶室があるとか定性的な視点で物件を特集してハマる人とむすびつけるというビジネスモデル。

東京R不動産のサイト 他の不動産屋にはない興味を引く文言が踊る
東京R不動産のサイト 他の不動産屋にはない興味を引く文言が踊る

その手法はアパレルや小売の手書きポップと似ており、事実アパレル業界からの転職者が活躍しているという。

一見、従来の不動産業界の考え方と大きく離れているように見えるが、私にはむしろ不動産の本質に立ち戻ったやり方に見える。

不動産の本質とは何か。

それは彼らが口にしたように「不動産は一人の人に売れればいい」ということだ。

万人に受ける必要はない、一人の人に受ければ部屋は埋まるし売れる。

そのために物件の隠れた魅力を引き出して紹介するスタイル、それが東京R不動産である。

物件の隠れた魅力を引き出す東京R不動産(イメージ)
物件の隠れた魅力を引き出す東京R不動産(イメージ)

不動産は一つとして同じ商品はないからその部屋ごとにそれぞれ別の値段がつくという不動産の伝統的な考え方がある。

(その考え方を「一物一価」と言う。一物一価の考え方に従えば同じ面積、間取りでも階や棟内の位置が違えば価格は変わるし、極端な話をすれば全く同一の部屋でも5年前と今では価格が違うことになる)

一物一価の考え方と「不動産は一人の人に売れればいい」という考え方は切っても切れない関係にある。

なぜなら、その時その不動産を買う人が一人しかいないから自由な値付けが可能になるからだ。

東京R不動産とその意味において同じ考え方を持っている不動産会社は住友不動産だと思う。

住友不動産は図面集も用意しないし価格表を客に見せることも少ない。(参考:マンションコミュニティ第3回座談会「デベロッパ会社ごとの特徴」後編 )

なぜなら、不動産は一物一価であり、あなたが希望するその部屋は他の部屋や他の物件と比較できるものではないと考えているからである。

即日完売を狙って、不動産を大量の「商品」として扱う野村不動産の姿勢とは対照的である。(「商品」だからこそプロモーションやブランド構築に注力する)

一物一価は伝統的な不動産のあり方であり、東京R不動産は古典的な不動産の売り方を現代的な文脈で蘇らせた不動産業におけるルネッサンス(古典復興)だと言えるだろう。

東京R不動産

「東京R不動産と住友不動産の共通項」への2件のフィードバック

  1. はじめまして、海神丸といいます。
    ちょっと前の記事でしたが面白く拝見しました。

    これからいろいろ読ませていただきます。

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